スロバキア初 国産新型コロナウイルス診断キット 規制当局の承認取得、ESET財団100,000個の検査キットを寄付

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スロバキア人科学者らによって開発された新型コロナウイルス診断キットが、スロバキアの医薬品管理機関(State Institute for Drug Control: ŠUKL)に登録されました。ESET財団から政府へ寄付された初回100,000分の検査キットは、診断研究所に引き渡されます。

スロバキアの科学アカデミー(Slovak Academy of Sciences :BMC SAS)の生物医学研究所であるMultiplexDX 、首都ブラチスラバにあるComenius University Science、そして, Lambda Life and ProScience Techに所属するスロバキア人科学者らは、スロバキア国産の新型コロナウイルス診断キットの開発および登録を目指し協力しました。ESET財団は、キットの開発と製造の支援を行い、スロバキア政府へ初回100,000検査分のキットを寄付しました。

5月14日、医薬品管理機関(ŠUKL)は、「vDetect COVID-19 RT-qPCR」と名称された診断キットを承認しました。初回100,000キットは診断研究所へ納品されます。ŠUKL理事長で薬学博士のZuzana Baťová, PhD.は、次のように述べています。「医薬品管理機関は本検査の登録申請を優先事項として対応し、申請受理から4営業日以内に最終判断を公開しました。提出された必須基準を満たす技術的調査書類と検証テストによって、登録は円滑に行われました。これは、医薬品管理機関によってスロバキア国内で設計、製造、登録された初めての体外診断用検査(IVD)となります。」

規制当局への提出には若干遅れましたが、テスト検証プロセスで、MultiplexDXのスロバキア人研究者らがテストの感度を高める方法を創案しました。MultiplexDX の創業者であるPavol Čekan, PhDは次のように説明しています。「法医学的分析を行う中で、Charitéプロトコルに従ってテスト結果を確認するプライマーが適切に設計されていないことに気づきました。そのため新バージョンのプライマーを準備しましたが、結果として、感度とテスト精度が高まりました。新バージョンでのテストを何度も行う必要があったため、登録が当初の日程から延期されました。」

テストは検証が行われ、すでに評価されているサンプルと100%一致することが示されています。
「2つの独立した研究所で、92の臨床サンプルに対して実施されたブラインド検証テストでは、参照手法と比較してそれぞれ同一の結果を示しています。」とBMC SAVのRNDr. Boris Klempa, DrSc.はコメントしています。

ESET財団は、テスト開発の支援と初回100,000検査分のキットを政府へ寄付しました。さらに、製造と登録に関連する活動の調整と財政支援も行いました。
ESETのCEOであるRichard Markoは次のように述べています。「新しい診断キットの開発は、スロバキアの科学がより高いレベルに達すると同時に、科学が社会問題の解決策となることを示しています。ESETは、長い間科学を支援してきました。私たちESETは会社設立時からバーチャルのウイルス検出に取り組んでいるため、今回の新型コロナウイルス診断検査キット開発への関与は興味深い取り組みでした。」

検査キット開発と検証に参加したチェコの首都プラハにあるCharles University Science のRNDr. Tomáš Szemes, PhDが率いるチームは、開発と検証を通して次のようにコメントしています。「私たちはほかのチームと共に最適化と検証に取り組みましたが、登録を含めたプロセスが非常に迅速かつ円滑に進んだことに驚いています。」ŠUKLの登録における最終書類は、非営利団体CCCT SKのRoman Oravecによって準備されました。

スロバキア企業のLambda Life and ProScience Techも、診断キット準備の過程すべてに関与しました。スロバキア政府の常設危機チームのRóbert Mistríkは次の言葉で締めくくりました。「非常に多くの有能な科学者と国内企業との協力により、スロバキア初の新型コロナウイルス国産PCRテストが承認されました。これにより、今後国が最も必要なときに支援することができます。決して簡単な課題ではありませんでしたが、最終的に成功裏に終えたことを嬉しく思います。」